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「お母さん、源ちゃんに怒られるから先に寝るね。その方が蓮も安心するんだって」
「そうね。私もそう思うわ。お薬飲んでね」
「はい。歯磨きしたら飲む」
一度先に薬を飲んでしまったことがある。歯磨きしながらふらふらして、途中で分からなくなった。気がついたら次の日。目が覚めると蓮が覗き込んでいた。
「おはよう。大丈夫か? 歯磨きしながら眠りこけてたぞ」
「あれ?」
「先に薬飲んじゃったんだろう。だめだ、ベッドに入る時に飲め」
あれから気をつけている。体質的に薬が効きやすいのだろうと言われた。睡眠薬が強くなっていることは知らない。
すうすうと眠った頃に蓮は店に帰ってきた。
「悪い、とうとう全部任せちゃったな。……伴ちゃん、のんのさん!」
「今日は応援で来ましたよ」
「俺、休日出勤! でも代休もらえればそれでもいいし」
「悪かった、助かる。のんのさんにも迷惑かけてしまって」
蓮の様子が明るいのにみんなほっとしている。
(分かんないけど上手く行ったんだな)
源にもそれが伝わってきた。
「源ちゃん、明日は朝休んでいいよ。眞喜ちゃんと匠ちゃん、ジェイがいるから。伴ちゃんも来るんだよな」
「来るよ。源、安心して休めよ」
蓮としては源に自分のしわ寄せが行っているのが申し訳ない。源の人柄に甘え過ぎていると感じる。
「そうしようかな…… 之、明日休みだったっけ?」
「ああ、休みだ」
「よし! 大将、昼は凛子ちゃん来るしさ、夕飯まで休みもらっていいかな」
「構わないよ」
「じゃ、明日は之とデート!」
のんのが真っ赤になってしまった。
「ばか! そんなの黙ってろ!」
「いいよ。じゃ、デート休みだな。楽しんで来い」
「そうするよ」
(大将、ホントに機嫌いいな。ここんとこ苦しそうだった…… 良かった)
怪しい連中もうろついている。内情を深くは聞いていないが、ジェイにも言わずに1人苦しんでいるのが分かっていた。
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