1 木之崎碧

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 1 木之崎碧

 高校に入学して、生徒会を手伝うように顧問の先生に言われた。中学でも経験しており、快く承諾し生徒会室に行くと、女子ばかりでびっくりした。その中に、同じ美術部の白石櫻子先輩がいて嬉しかった。背が高く、ボブカットの髪の毛がとても似合っていて、僕は以前から好感を抱いていた。僕の姉はどちらかというとぽっちゃりしていて、スリムな櫻子先輩とは正反対だった。  生徒会の仕事は、新聞の印刷や生徒総会の資料作りなどで忙しかった。そんな時に櫻子さんは、僕の手助けをよくしてくれた。僕は毎日が楽しく、櫻子さんに、子犬みたいにじゃれ付くようになっていた。そばに寄ると、髪の毛の香りなのか分からないが、とても良い匂いがした。 「碧君は可愛いね、弟みたい。今度、家に遊びにおいでよ。」  弟みたいは余計だが、櫻子さんに誘われて嬉しかった。学校が半日で終わった日に、櫻子さんに連れられて家に行った。家にはお母さんがいたが、挨拶もろくろくせずに部屋へと案内された。女の子の部屋には姉の部屋で慣れているが、それとは違い新鮮だった。本もたくさん読んでいるようで、僕はキョロキョロと見廻していた。すると、彼女が制服を脱いで着替え始めた。 「今から着替えるから、こっち見ちゃ駄目だからね!」  彼女の言葉に素直に従って、僕は目を閉じていた。洋服のすれる音が途絶えると、ベッドに腰掛けている僕のすぐ横に身体を付けて座ってきた。僕は慌てて横にずれたが、彼女のミニスカートがめくれ上がって、長い脚の奥に下着が見えそうだった。 「碧君は、女の子の部屋は初めて?」 「いえ、姉がいるんで初めてという訳ではないにですが、いい匂いがしますね。」 「あーそう?じゃぁ、女の子には一応免疫があるんだね。」  免疫と言われても姉だし、女子と二人きりでベッドに腰掛ける経験はなかった。何となく落ち着かない気分になり、僕の方から質問してみた。 「櫻子さんは、男子と付き合ったことがあるんですか?」 「あるよ、沢山ね!最初は中2の時で、後ろの席の子だったけど、髪の毛を触ったりスカートをめくったり、胸にタッチしてきた事もあった。それで、気があるんだと思って、付き合ってみたけど直ぐに別れた。」  まさかの恋バナが始まって驚いたが、聞きたい衝動に駆られていた。 「もっと聞きたい?それから、高校に入ってナンパされて付き合ったけど、変な男だったから2度会っただけでおしまい。その後は部活の先輩で、好きでもなかったけどデートして、いきなりキスしようとしてきたから引っ叩いて終わり。バスの中で声を掛けてきた人はしつこくて、ストーカーみたいだった。」 「さすが、櫻子さんはモテるんですね。僕はそういう経験がなくて…。」 「碧君はこれからだよ!参考になった?それで、例えば私とこうしていて、触ってみたいとか興奮とかするの?男の子はどうなのか、気になるんだよね。」  彼女の大胆な問い掛けに、僕は赤面していた。何も答えられずにいると、 「まあ、いいや。この続きはまたいつかね。」と彼女は言って、話題を変えた。 1時間ぐらい、アニメの話や学校の話をして僕は帰った。
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