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1 松山雄彦
俺はF高に入ってすぐ、同じ写真部の朝倉清香に告白して付き合った。彼女は男女交際が初めてらしく、帰り道では照れ臭そうに横を歩いていた。話しをしても面白い訳でもなく、彼女の丸く形の良さそうな胸、まだ少女の硬さを匂わせる小さなお尻、さらさらとした髪の毛が好きだった。髪に触りたい、胸を触って揉んでみたい、裸体を見てみたい、と歩きながらいつもそんな事を考え、チャンスを伺っていた。
文化祭の準備で帰りが遅くなり、彼女を家に送って行く事になった。二人で夜道を歩いて、近道だと言う土手に差し掛かると真っ暗で、いきなり彼女が俺の腕にしがみ付いてきて、
「松山君、真っ暗で怖いよ!こうしていて良い?」と訊いてきた。俺は、
「大丈夫だよ、俺がこうして付いているから。」とほくそ笑んでいた。彼女の豊かな胸が歩く度にひじに当たり、ずっとこのままの状態が続いてほしいと思った。彼女の家の近くに来ると、さっきの甘えた様子はすっかり消え、いつもの彼女に戻っていた。「また明日ね!」と軽く挨拶を交わして別れた。
彼女とは夏休みまで順調だったが、キスをしようとして迫ったのが失敗だった。彼女の部屋で良い雰囲気に持ち込んで、肩を引き寄せて髪の毛に指を絡ませると嫌がった。それからキスを仕掛けると、本気で怒り出した。
「松山君とはキスしない!松山君は私のどこが好きなの?顔?髪の毛?それとも身体?心とかじゃ、絶対ないよね!」と言われ、髪と身体とは言えず、
「朝倉さんのすべてだよ!俺達、付き合って随分経つのに、キスもしてないんだよ。付き合っているんだからキスしてもいいんじゃないかな?」と返した。そして、もう一度彼女の腕をつかんで挑んだが、思い切り拒否されてしまった。それ以来、彼女からは無視され続けた。本当はキスされて、胸に触られたいくせに、俺を拒否するなんて許せない女だと思った。
親友の工藤にその事を話すと、彼は馬鹿にして言った。
「部屋まで行っておいて、何もできなかったのか?情けないな!そういう時は強引に迫れば良いんだよ!女の子は、最初は嫌がる振りをするけど、1回やれば素直になるんだよ。」
そういう彼は童貞を卒業しており、俺としてはうらやましい限りだった。
朝倉さんは部活を辞め、二人の関係はそれ切りになってしまったが、俺はあきらめ切れずにストーカーまがいの行為をした事があった。校門で待ち構えていると、彼女が写真部の先輩と仲良さそうに出て来た。こっそり後を付けて行くと、手をつないで歩いて土手の下に二人で降りて行った。俺は見つからない様にしてのぞき込むと、二人は斜面に座ってキスをしていた。俺のキスを拒んで3カ月後には、他の男とキスをしている彼女が信じられなかった。
冬休みの部活で、朝倉さんとキスをしていた先輩と二人だけになった。二人の関係が気になり、先輩に思い切って訊いてみた。
「先輩は朝倉と付き合ってるんですよね。いつからですか?」
「何だ知ってたのか。夏休みにあいつから告ってきたんだよ!」
夏休みと聞いて、あの時にはもう俺なんか眼中になかったんだと思った。
「それで、朝倉とはどこまでしたんですか?参考までに教えてください!」
「松山も、そんな事に興味を持つようになったんだな。男と女が好きになって、付き合うってことは、それ以上言わなくても分かるだろう!」
それ以上は訊き出せなかったが、二人はセックスをする関係だったと、先輩が卒業した後に聞いた。朝倉さんの事はもう忘れて、俺も早く適当な女の子を見つけて、初体験をしたかった。
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