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1 榎翔之介
高校のサッカー部は、練習も決まりも思っていたよりも厳しかった。明日ヶ丘高校は男子生徒が少なく、男子の部活を甘く見ていたのかもしれない。部員は20名、内3名が女子マネージャーで活動していた。
1年生の夏までは女子にあまり関心がなく過ごしたが、夏合宿を過ぎた頃から一人の女の子が気になり出した。その子は帰国子女と言っていたが、1年生の女子マネの南真莉愛という生徒だった。周りの子とは余り打ち解けず、一人で黙々と仕事をこなしていた。背は160センチと言っていたが、可愛らしいミディアムカットの髪型でスタイルが良く、特に腰の括れと胸の形が魅力的だった。大きな目はまつ毛が長く、やや低目の鼻にふっくらとした唇が印象深かった。女子マネとは特別に話をする事もなく、挨拶を交わすぐらいだったが、練習の合間に気が付くと見ほれていた。
彼女とは同じクラスではなかったが、クラスには仲の良い友達といつも一緒にいるらしい。ただ、男子の中で、「あいつはカナダですべて体験済みだから、やらせてくれるぜ!」などとやゆされていた。俺は、身体つきが大人びているのと、皆と馴染めていない事から、そんな風に言われるのだと気の毒に思った。日頃の彼女を見ていて、純真な良い子だと好感を抱いていた。
1年の春合宿の時、彼女と初めて会話らしい会話を交わした。
「南、いつもありがとう!一生懸命に働いている姿、いいよね!」
俺が精一杯頑張って言うと、彼女は赤い顔をして返事をした。
「榎のこと、いつも見て応援してるよ!」という一言だったが、俺は天にも昇る気持ちだった。それからは彼女の事を常に考え、告白しようかどうしようかと悩んでいた。夜は眠れずに、彼女とデートしている姿を思い浮かべ、キスはどんな雰囲気でするか、時には彼女の裸体を想像して自慰にふける事もあった。
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