2 杏と陽介

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2 杏と陽介

 2学期の初めに生徒会選挙があり、朝比奈杏は対立候補の男子を破って、生徒会長に当選した。僕は会長の座を彼女に譲るために、生徒会室で引継ぎを終わらせた。二人だけの空間が僕を、「彼女は待っている」とさとしていた。 「杏!こっち向いて!」  彼女がこちらを向いた瞬間をとらえて、あごを引き寄せキスをした。我ながら上手く行ったと思いながら、彼女の唇を甘くかみ、舌でその感触を確かめた。小さく震える唇は、柔らかくしっとりしていて、僕の下半身は興奮していた。 「陽介さんがいなくなると思うと寂しい!また会えますよね。」という彼女の甘い言葉に、我を失いそうになったが、その感情を理性で押し戻した。  家に帰ってからも、彼女の唇の感触が忘れられなかった。    それからは彼女と会うのを我慢して、勉強づけの毎日を過ごした結果、京都の志望大学に合格できた。両親にはもちろんだが、彼女にも真っ先に報告した。夕闇迫る図書館の前の芝生で待っていると、彼女が僕に抱き付いてきた。 「陽介さん、おめでとう!私、嬉しくて。」という彼女は、飼い慣らした犬のように可愛かった。そして、興奮冷めやらない彼女の唇と、僕の唇は自然に重なり合っていた。久し振りのキスに興奮し、今まで無理矢理閉じ込めてきた欲望がよみがえったようだった。ズボンの中の欲望を、彼女に知られまいと腰を遠ざけながら、しっかりと抱き締めた。彼女の手は僕の背中に廻され、力が入っていた。彼女の身体の柔らかさの中に、胸のふくらみを感じ取った。  そして卒業式の日、彼女が送辞を読み、僕が答辞を述べた。彼女との甘い思い出を、こっそりと答辞の中に込めていた。式の後に彼女と生徒会室で会い、高校生として最後のお別れをした。夏休みに京都へ遊びに来るという彼女の言葉に嬉しくて、彼女を抱き寄せてキスをした。彼女とのキスはまだ4回目だったが、この時は口を吸い合うだけでなく、お互いの舌を絡め合った濃厚なキスになった。唾液を交換し合い、口から漏れそうになるのをすすり、飲み込んだ唾液の鳴る音が妙に感覚を刺激した。僕は彼女の腰に当てていた手を、恐る恐る下へ移動していった。小振りなお尻をそっとなでていると、それに気付いた彼女は、腰をひねって僕の手を遠ざけた。仕方なく手を背中に戻し、ブラジャーの線をたどりながら、この下に隠されている乳房を想像していた。  学校が閉まるぎりぎりまで、二人でいちゃいちゃした時間を過ごした。 彼女の胸にも触ってみたかったが、拒まれた時の事を考えると勇気が出なかった。この先彼女と会えない事を考えるとつらいが、夏休みの約束を心待ちに過ごすしかない。彼女もきっと同じ思いでいる事を信じていた。 杏の独り言 陽介さんからキスをしてきた。今回は長い。唇を舐めてる?いい感じだけど、私、少し震えてる?いや、陽介さんが震えてるんだ。  今日のキスは4回目か。しばらくお別れだね。寂しくなるけど、夏には京都へ行くから、その時まで良い子でいてね!  油断してたら舌が口の中に入ってきた。気持ち良いような、悪いような、変な感じ。唾がいっぱい出て来て、飲み込むのは嫌だな。  口に集中してたら、今度は陽介の手がお尻を触ってる。今日は積極的だ、どうしたのかな?でも、手付きがいやらしい!今度は背中に来た。何してるの、ブラジャーを確かめてるの?くすぐったいよ!胸に触ってきたら、どうしようかな。触られてみたい気がするけど…。
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