3 杏の初めて

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3 杏の初めて

 卒業後は、引っ越しやら入学式やらで忙しかったが、杏へのメールは欠かさなかった。彼女も新学期に入り、生徒会や勉強に忙しそうだった。大学生活は、今までと違って自由だが、すべて自分に責任が着いて廻る。授業に出なくても怒られないし、夜中まで遊んでいても何も言われないが、あとでその付けが廻って来るはずだ。女子学生の中には、ボディコンのミニスカートも多くいて、目のやり場に困った。杏は大学生になっても、こんなかっこうは絶対しないだろうと確信していた。純真で可愛らしい杏が大好きだ。だから、京都の女の子とは付き合わない事に決めていた。  待ちわびていた夏休み、杏との再会の日は明後日だ。それまで僕は、大学の講義の合間や休みの日に、京都の観光スポットを巡って、彼女とのデートを充実させるためのシミュレーションを立てていた。まず京都御所に行って、定番だが金閣寺を巡り、僕の大学も見せてやろう。夕食は錦市場でおばんざいを食べ、四条通を歩いて鴨川のほとりに連れて行こう。この前下見で行ったが、自分達も鴨川の恋人同士みたいになりたいものだ。彼女に拒否されたら、そのままホテルに送っていけばいいだけの事だ。2日目の計画も万全だった。  夏休みの当日、京都駅で待っていると杏がキャリーバッグを片手にやって来た。半年ぶりの再開で、彼女は以前よりも大人びた印象だった。タンクトップの胸は小さいけれども強調されていて、ミディアムスカートから見える脚はほっそりと伸びていた。すぐにでも抱き締めてキスをしたい衝動を抑え、再会を喜び合ってから京都の街を案内した。駅でロッカーからバックを出し、食事をした後で四条通を、腕を組んで歩いた。片手でキャリーバッグを引きながら、僕は家出少女を連れて歩く悪人のような気がしていた。  四条大橋から川べりを望むと、多くのカップルが等距離に座っていた。それを見て彼女は、目が点になっていた。 「あれは俗に『鴨っぷる』と言って、恋人同士が河川敷に等間隔に座っているので有名になってるんだよ。どう?下へ行ってみようか。」と僕は誘った。  しばらく歩いて、適当な場所を見つけて腰を下ろすと、両隣のカップルが少しずつ移動して等間隔が保たれた。僕達二人は周りが気になって、横目で辺りを観察していた。すると、右隣の恋人同士がキスをし出したのを見て、僕は杏の肩を抱き寄せて、うつむく彼女の顔をのぞき込むようにしながらキスをした。彼女もそれに応じて、唇を吸い返していた。僕はかつてしたように、彼女の口を舌でこじ開けて入れようとすると、彼女が待ったを掛けてきた。 「歯を磨いてないし…。」と恥ずかしそうに言ってきた。 「同じ物を食べたんだし、大丈夫だよ!」と言っても、聞かなかった。 「じゃあ、舌を出して!」と言うと、素直に出してきた。そして、舌を吸ったり吸われたりを繰り返していた。彼女ののどからは、今までに聞いた事のない声が漏れていた。  目を隣のカップルに向けると、どうやら胸に愛撫をしているらしく、女が見もだえている様子だった。僕は彼女の胸に触ったことがなく、この機会にと思って、キスを続けながら手を伸ばした。彼女の乳房は掌にちょうど納まるくらいの大きさで、適度な弾力と固さを有していた。彼女の反応が気になったが、僕の手から逃れる訳でもなく、受け入れているようだった。僕が調子に乗って乳房をもむと、隣の子と同じように身をよじって反応していた。 「陽介さん!もう駄目だよ!変になりそうで…。」  彼女の言葉に我に返って辺りを見ると、カップルの姿は減っていてまばらだった。彼女の手を取って立ち上がらせ、鴨川べりを後にした。 杏の独り言  なるほど、鴨川か。ここがどんな所か、言わなくても知ってるよ。陽介さんにしては、中々考えたね。 「まさか」と思ってたらキスしてきた。恥ずかしいけど、皆もしているから良いか。久し振りのキスだ!吸ってみようか。ちょっと待って、舌が入って来た。今度は舌を吸われた。何か気持ち良いかも。私にも吸えと言っているの?喉から変な声が漏れて恥ずかしいよ!  口の周りが唾液だらけで、気持ち悪いな。あれ?おっぱいに触ってる?小さくて恥ずかしいけど、そのまま知らん顔をしていよう。今度はおっぱいをもんできた。何か感じる!くすぐったいでもなく、気持ち良いのかな、何だろうこの感じ。下半身に力が入らない。どうしよう!
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