めぐりめぐる

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 お通夜を終えた、告別式の朝。  棺を囲う私達のもとへ、トレイにたっぷりと花を乗せた三人のスタッフがやってきた。 伯父を見送る一人ひとりが花を手に取り、伯父の眠る棺に添えていく。由梨と康太の子どもたちは、丸めたお手紙を入れていた。まだ幼く、死は理解しきれていないかもしれない。 生花が好きな私は、おじちゃんが寂しくないようになるべく華やかな花を入れてあげたい、と思ったのだけど、トレイには白い花ばかりだった。 伯父の身体や顔周りが花でいっぱいになると、スタッフの男性が厳かに言った。 「最後のお別れとなります」  瞬間、一同は張り詰めさせていた我慢が決壊し、わっと泣き出した。私も、大好きなみんなの様子に涙が溢れ出した。  その中、震えるように背中を丸め、嗚咽して泣き出したのは、祖母と父だった。 伯父がくまなら、おとなしい犬のような真面目で働き者の優しい父。父のそんなにも悲壮な姿を見たことのなかった私は、少なからず衝撃を受けていた。
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