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ごく親しい親族の見守る中、伯父の棺が、霊柩車に乗せられていく。
この時もう私は、涙が溢れて止まらなくなっていた。
由梨ちゃん、康太、おばちゃん、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん。みんな。
みんなが悲しんでる。
右手のハンカチでそれを抑え、初めての葬儀を静かに見つめる長男の小さな手をぎゅっと繋ぎ直す。
霊柩車の扉が閉まったその時、私の心配していたことが起きてしまうことになった。
視界の右端に映っていた伯母が、ふらりとしたのがわかったのだ。
あっ――!
危ない!
けれどその瞬間、伯母の両脇にいた由梨と康太が、二人で伯母の腕をがっしりと支えた。
その光景を見た時、胸がしめつけられるような感覚と、心温まるような感覚が押しよせてきた。
あの時の伯父の役割は、由梨と康太が立派に担っていた。当たり前のように、ごく自然に。
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