13人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
きっと、伯父はこの光景をそばで見守ってくれている。そして伯父はきっと、誰よりも泣いているのだろう。
みんな、そんなに泣くなよ、と。
俺は幸せだったから、と。
優しい伯父は、自分の死よりも、みんなを悲しませてしまったことに心を痛めているはずだ。
思いがけず旅立つ伯父の気持ちを思い、また涙は溢れ出して、拭いきれずにマスクが冷たくなっていく。
自分のために涙を流してくれる人がこんなにも沢山いるのなら、その人の人生は、生き様は、素晴らしかったのだと私は思う。
今まで気丈にしていた伯母は、
「頑張れないよ」と消えそうに言った。
すかさず由梨ちゃんが、
「頑張れるよ、大丈夫だよ、安心して、お父さん」と言った。
伯父に似て多くは語らない康太は、黙ったまま、伯母を支え続ける。
きっと伯父も今、三人のそばに寄り添ってくれていると、私は思う。
最初のコメントを投稿しよう!