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結局、伯母は伯父の火葬の見送りはできず、別室で待機していた。
それで、いいよ。
伯父なら、短くそう言うだろう。
見送る私は、伯父との思い出がぽろり、ぽろりと蘇ってきていた。
よく、トトロのさつきちゃんのパパの真似をしていたおじちゃん。
私のことを、“うさぎくん”と、変なあだ名でよんでいたおじちゃん。
思春期の由梨ちゃんに嫌がられ、悲しそうだったおじちゃん。
私が短大に入学するときは、当然のように保証人になってくれた。
私はおじちゃんの釣ってきた鱒を焼いてもらって食べるのが大好きだった。
正直なところ、おじちゃんが亡くなっても私の生活にはほとんど変わりがないように思っていた。
でも、思い返せば返すほど、小さなパズルのピースが溢れて大きな思い出ができあがっていく。
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