裁く者

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裁く者

神はこの世に存在()らず 人の世は人が裁くもの ゆえに悪事は見付からなければ 裁かれることもなく根を張り続ける 平和の中に潜伏する「悪」 見える悪を容認する「悪」 「善」を語る「悪」 「善」を望む弱者は 気付くほど心が崩れ 知るほどに不幸を招く 神がそれを見ている だが神は弱者に手を差し伸べはしない 此処は神の世ではなく   “人の世”だから 正義がバラバラのこの世界は 何を主張して 何を信じればいい 巨大な悪の前には聖者も跪くしかないのか 敵 無関心 味方 誰と手を繋ぐかが別れ道 魂を捧げない弱者を救う神はいくら願ってもこの世に現れず 弱者はいつも嘆くだけ それが人に与えられた試練なのか 此処は   “人の世”だから 神が本当にいるのなら 悪はいつか必ず裁かれるだろう   “神のいる場所”で
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