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オープニング
キィ、と音をたてて、エリタは部屋の扉を開ける。
WRと呼ばれるこの広い円形の部屋は、たくさんのドアで埋め尽くされていることが特徴的だ。床、天井、壁、ありとあらゆる場所にドアがある。
その中からエリタは、『E』と書かれた看板がかかっている淡い水色のドアを選ぶ。
ノックの部分を指先でタップすると、すぅっとドアが開いた。エリタは海のような澄んだ青の目を期待で輝かせながら、そっと中に足を踏み入れる。
エリタがもう一人の自分になれる、部屋の中。
来れてよかった、と思う部屋の中。
「わ、また来てる……」
期待が叶ったことに声を弾ませながら、やった、とこぶしを握って、
これからエリタの、幸せな時間が始まる。
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