『E』の幸せ

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 エリタは一度だけ、家族とケンカしたことがある。  その時エリタが真っ先に向かったのが、『E』の部屋だった。  まず何よりも、『E』の部屋に行きたいと思った。  あそこでなら、エリタを悪く言う人はいなかったから。  『NOTICE』のドアの上で光る赤い宝石。  ドアを開けた瞬間に燦然と光る星が零れだしてきて、続いて紙吹雪が舞った。 【おめでとうございます!】  多分、星の数が100個になったとか200個になったとか、そんなことだったと思う。星の数が一定に達すると、ドアの中から紙吹雪が飛び出してくるようになっているからだ。  今覚えているのはそれよりも、泣き出しそうな顔に降りかかった金銀の眩しい吹雪だった。  家族とケンカした時に泣きそうになったけど、そこで家を飛び出してしまう自分に泣きそうになったけれど、そんな自分に紙吹雪が舞っていることが嬉しくて嬉しくて。  降り積もった紙吹雪と星を手で優しくすくい上げていくと、コメントもたくさん出てきた。  昨日書いたコメントに対する返信や、作品に対するコメント。 『こちらこそですよ。いつも本当にありがとうございます。エリタさんの作品、楽しみにさせてもらってますよ』 『この作品読めてよかったです本当に。感動しました!』 『さっきエリタさんの作品読んできました~!どの作品もすごかったです。エリタさん天才ですね……!』  コメントを見て、星を見直して。  自分を『天才』と言ってくれる人がいることに本気で泣きそうで。  コメントをくれた人を確認して、憧れている人を見つけて目を見開いて。  心の中で思った。 ____ここも、私の居場所なんだ。
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