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「今、何時」
僕の横に寝ていた彼女は慌ただしく時計を見る。
時間は夕方の十七時だった。
「帰らないと、シャワー浴びるね」
彼女は全裸のまま、浴室に消えていった。
彼女の夫は最近、帰りが早くて、十九時くらいには家に戻りたいという。それまでに買い物を済ましておく必要があるらしく。この時刻がタイムリミットだった。
彼女は僕の股間のモノを見て、「元気になっているね」と笑うと、包んだ掌を上下に動かした。僕が発射すると、彼女は僕の裸の尻を叩いて、「さっさとシャワー浴びてきて」と言った。
シャワーを出ると彼女はもう服を着て、慌ただしく化粧を直していた。
部屋の支払いボタンを押して、現金を機械に入れると、鍵が開いた。
ホテルを出ると、薄く夜が景色に落ちていた。僕は彼女と手を繋いだ。そういえば、妻と手を繋いだことなんて、しばらく無いなあと考えた。
家庭においてセックスレスのため、罪悪感は無かった。自己都合なのは分かってはいたが、痺れるような快感に負けてしまう。
駅のホームで、僕は、「今日の夕ご飯は何」と尋ねると、「麻婆豆腐」と短く彼女は答えた。
「温めればすぐに食べれるようにしているので簡単よ」
男女が別れ際に話す話題ではなかったので、何か笑いが込み上げてきた。
ホームに電車が到着すると、彼女は、「じゃあ」と言って、電車に乗り込んだ。
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