密会

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 ラインでやりとりを始めたが、なかなか彼女は会ってくれなかった。娘の進学やいろいろと忙しいという事だった。  彼女が紹介してくれたテレビ番組を、動画アプリで見た。性同一性障害の女子が、恋人のDVに耐える女子とシェアハウスに同居する話だった。  結局、二回目のデートはそれから二か月後、若者に人気の地域で、パンケーキを昼間から食べた。近所の雑貨屋を回るという予定だったが、彼女はあまり興味を持てないようだったので、お茶をして、雑談をして帰った。  彼女と半日居て、急激に心が接近するのを感じた。彼女と話をしているのが心底楽しかった。これまで女性と話をするとギクシャクするのだが、彼女は自然に僕に接してくれた。  彼女は子供の時に、紙を入れて股間を膨らませてポーズをとって母親から怒られた。僕は中学生の時に自分の体毛が嫌ですね毛をつるつるに剃っていた。  僕が体毛を全身脱毛している事を告げたら、彼女は見せてと、僕の脛を確認した。彼女が女子高を卒業していたと聞いて、 「好きな女子とか、学生時代にいたの」 と質問をしたが、彼女は肯定も否定もしなかった。  お互い、何となく良さげな人だからという「なんとなく婚」でもあり、夜になると自部屋で一人で寛ぐのが楽しいということも同じだった。  それから1か月経って、ちょうど、自宅近くで有名なパン屋の直販会で行列に並んでいる時、暇に任せてラインをすると、彼女から、「ふっきれた」というメッセージが返って、二週間後に三回目のデートをする事になった。
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