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僕は黙って言うことを聞く。
リビングに戻って、今日も食べない彼女の夜ご飯をラップで覆った。
それからそれを冷蔵庫にしまって、ソファに腰かけてテレビをつけた。
夜10時のレギュラー番組は、相変わらず旬の芸人たちが面白おかしく番組を作り上げている。
ふたりでみればきっと面白くて笑ってしまうんだろう、今日見たそれは、ちっとも面白いと感じなかった。
きみのせいだ。
でも、それは、ぼくのせいでもあるんだ。
テレビを消した。
スマホとスピーカーをつなげて、音楽を流した。
それからただぼうっと、彼女が好きな流行りの音楽のシャッフルをながしたまんま、ソファに沈んで瞼を閉じた。
このまま眠ってしまえば、どれだけ幸せだろうか。
…なんて、何も解決しないままそこから逃げようとするのは僕の悪いところで、
そんな黙ったまんまの僕に反抗するのは、きみの悪いところだ。
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