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そこは郊外にある小さなお蕎麦屋さん。
此処には毎年、年末になると訪れる珍客がいらっしゃいます。
噂をすれば…ほら、続々とやってきましたよ。
「では、今年一年の終わりという事で。
僭越ながら、私、五月人形が乾杯の音頭を…」
五月人形がビール片手に叫ぶ。
「能書きは良いから、早く飲ませろ~」
彦星がヤジを飛ばすと、五月人形以外の面々が
「そうだそうだ!」
と一緒になって叫んだ。
すると五月人形が
「良いから聞け!マスター。マスターも笑ってないで入ってくださいよ」
お蕎麦屋のマスターに救いを求める。
するとマスターは笑いながら
「え?良いのかい?もちろん、おごりだよね?」
と言うと、マスターと五月人形は二人で大笑いすると
「お金ないの知ってるよね?」
と、五月人形が真顔でマスターに叫ぶ。
マスターが苦笑いを浮かべて
「はいはい、じゃあ、取り敢えず乾杯だろう?」
そう答えた。すると五月人形はビールを手にして咳払いすると
「今年も飾られなかったけど、来年こそは飾られますように!」
と叫ぶと、この日に集まった彦星、三人官女が
「かんぱ~い!」
と叫んで、グラスを当てて鳴らす。
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