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───…・
「 アオイって、やっぱ彼女いたんだね〜 」
「まあそうだよねえ、じゃないとあんな恋愛知り尽くしたうた書けないよね」
「今日来てたのかなあ、でも絶対来てたよねえ」
「彼女と喧嘩してたのかなあ」
「なかなおり、できるかねえ」
「あの曲、どういう意味込められてたんだろう?」
「失恋ソングにも聞こえれば、ドストレートまっすぐな告白のうたにも聞こえるからなあ」
「 曲名は任せますって、あれ意味深 」
外は真っ暗だった。
あっという間だったのだ、日が沈む前に戻れるのなら戻ってもう一度あの熱に包まれたいとさえ思う。
会場を出て出口に向かう。
熱気で包まれていたそこに、外からの冷たい風が入り込んで、頬を掠めた。
ラババンをつけて、マフラータオルを首にかけた人たちが、ぞろぞろと駅に向かって歩いている。
中には余韻から抜け出せなくて会場を前に足を止めてしまう人も少なくなかった。
「なあねーちゃん、自分の顔見たほうがいいよ」
「…ほんっと、失礼ね」
「久々に会う顔がそれだとなかなか笑えるよ」
「うるさいな、いまからちゃんと直して来るしいま鏡みたけどそんな酷くないから」
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