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ガチャでひくアサルトライフルがひらく夢★1-2
凛子の話をまとめるとこうなる。ちょうど秋葉原の同人誌ショップや秋葉原の洒落たクラシック喫茶「マーラーズ・パーラー」などに、二人で作っている同人誌、『レストレス・パルス』を置いてもらうよう消毒液とマスク完備で一回り、いわば「営業」をしていた。その後……。
なんとなく気持ちが昂ぶってしまい、電動ガンなどの射撃レンジのあるガンショップに凛子は寄り道した。コロナ禍でもって、意識の中に澱のように淀むなにかを、撃ちまくって解消しようと思った。そのとき──。
一通り射撃を終えたのか射撃レンジの後方通路で、アガットのハートネックレスを身につけた女性が帰ろうとしていた。黒猫のチャームをつけたガルシア・マルケスのバッグも持って。
彼女は「レストレス・ドリーム」の公式ブログやツイッターにときどき顔を出す、通称秋下Pだった。先日、自分へのご褒美にアガットのネックレスを買った、と書いていたのを思い出し、凛子は声をかけてみた。
「秋下Pさんですよね、いつもいつも楽しく『レストレス・ドリーム』を遊ばせていただいてます。『レストレス・パルス』のドーリスです」
ドーリスは凛子の筆名、そして「レストレス・ドリーム」でのハンドルネームだった。
「え、ありがとうございます! こちらこそ、いつも『レストレス・パルス』拝読させていただいています。パーツショップはいつも『ラーク』を使うことが多いので、そこで同人誌を買ってますよ。オリジナルの銃器デザインが秀逸です!」
「ありがとうございます」
秋下Pこと秋下プロデューサーはゲームのグラフィック・デザインを担当する「レストレス・ドリーム」のスタッフだった。
「あの、よければな話ですけど、うち、ヘッドラッシュ社でアルバイトするお気持ちはありませんか?」
えっ、と凛子は自分の耳を疑った。
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