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ネガティヴ・アクセル★1-1
ロシアのミル8ヘリコプターから何人もワイヤーロープを使って降下してくる。着地するとそのまま情景に溶け込むように散開して隠れる。
──崩壊した秋葉原。中央通りのビルは上層がすべて空爆によって破壊され、路面には墜落したヘリコプターの残骸や廃車、そしてバリケードなどが散乱、混在している。
まずいな、と俺は思った。戦いの前にさっとあんなに身を隠す動きを見せる連中はそんなに多くない。たぶん、一点から動かずにだらだらと敵を狙い撃つ芋なスナイパーなどはいないだろう。それに統率もとれているようだ。
スナイパー狩りは無理らしい。場所を適宜変えず、同一地点からえんえんと狙撃するスナイパーを狩るのが俺の好みなのだが。
それがいなさそうだと思うと……俺がこちら側でアクティヴに動くスナイパーとして、急ごしらえのこの部隊を支援してやるしかなかった。
俺はとりあえずビルの上階近くに潜む。
戦闘がはじまった。
さすがに動くと敵影も捕らえやすい。
俺はバリケードの後ろに走ってきたばかりの奴にスコープで狙いをつける。
そいつが射撃をしようとバリケードから上半身を出した瞬間、ツバキ社のスナイパー・ライフルのトリガーを引く。
ヘッドショット。
射殺されて、そいつのパーソナル・データが表示された。
ハンネ、Ozone、そしてチーム名「MoonBlaster」。
思ったとおり強豪チームじゃないか。
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