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ガチャでひくアサルトライフルがひらく夢★2-2
「では『レストレス・ドリーム』デザイン課課長に代わりますね」
と、ウェブカメラの視野から秋下Pがどき、リムレスの眼鏡をかけた、30代なかばほどの男性が席に着いた。
「はじめまして、『レストレス・ドリーム』デザイン課課長の城木です。いつも『レストレス・パルス』を楽しく拝読しております。それで、仕事のクオリティは同人誌でわかっているので、以下は弊社でアルバイトを依頼するとなっての社会人適性テストのようなものです」
しかし、いざ話すと、それは起床時間や睡眠時間、社会知識、職場でのマナー、敬語や挨拶、人として当たり前のことばかりだった。
「就寝と起床の遅い時刻の理由が『レストレス・ドリーム』であるのは嬉しいですけどね」と城木課長は苦笑した。
よく考えたら、とかのんは思った。──いやよく考えなくても、人として当たり前のこともできてないじゃない。早くて10時、遅くてお昼まで寝ている……。
「採用決定です。これはまだ進行中のプロジェクトなのですが、もし話にのってくれる出版社さんが見つかったら、『レストレス・ドリーム』のコミック・アンソロジーを出せたらいいな、と思っています」
……! かのんは声をあげそうになった。
その後細かいやりとりが続き、スカイプの通話を切った。
すかさずかのんは凛子へショートメールを送った。
「スカイプ通話できる?」と。
少し間を置いて、凛子からかかってくる。
「どうだった?」
「いや緊張したわ」
「そうじゃなくてさ」凛子が笑う。
「面接通ったの?」
「ああ、うん、通った通った」
「コロナ禍でなくても、のんはちょっと距離あるものな」
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