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5日後~1月25日~
「うそ…… 減って…… る?」
5日後の1月25日。
私は、愕然としていた。
それまで興味がなかったことでも、いったんメモすると意外と気になるもので、ふと携帯のメモ帳アプリを確認してみた結果が、これである。
『1月20日 24人
1月25日 20人 』
4人も減ってるのに、私は気づきもしなければ、誰が減ったのかも分からなかったのだ。
「有里さん! これどういうこと? 何か知ってるんでしょ!?」
事情を知っているとすれば、彼女しかいない。
だって、誰も気づいていないのを真っ先に気づいて、私に言ってきたのは有里さんなんだから。
その日の昼休み、有里さんに詰め寄る私を彼女は静かに見遣り、 「やっと気づいたんだねぇ」 と呟いた。
そうだったのか、と、初めて合点がいった。
-- 有里さんは、私に気づかせるために、声を掛けてきたんだ。
一体、どうして?
何の、ために?
「ねぇ、道下さん。誰が減ったのか…… 消えたのか、本当に、わからないの?」
「そんなの全然知らないよ!」
くすり、と有里さんが小さく笑った。
「そうなんだ…… みんな、道下さんの 『友達』 だったのにねぇ」
「何言ってるのか、わからない。証拠は? 証拠はあるの?」
「ないよ…… 証拠がなければ、思い出しもしないんだ。 『ウチら、ずっ友だよね!』 とか言って、いかにも仲良さそうだったのに…… そんなものなんだね」
バカみたい、と小さく呟かれて、ムッとする…… 確かに 『消えた』 人たちのことは覚えていない。
けど、それに気づかなかったのは私だけじゃなく、クラスのほとんどがそうだったはずだ。でなければ、もっと大騒ぎになっている。
それに、なぜ、私が有里さんからこんな風に蔑まれなければならないのか。
「教えてよ。一体、誰がいなくなったの?」
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