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突然の出来事に、静真と昊は露骨に驚いた顔で
哉芽を見て、咄嗟に持っていた携帯を
ソファーがわりにしている大きめのクッションの
下に隠した。
「の、ノ、ノックしろよ!」
「………いつもそんな事
言わないじゃん」
ドアの前でキョトンとした顔で固まる哉芽に
なおも静真が声をあらげた。
「ひ、人が来てる時はダメだろっ…!」
真っ赤な顔で慌てふためく静真を見て
ついに昊が笑い出した。
「いや、静真…慌てすぎでしょ?」
「あ、あわててねぇよ!!」
「………なんか変なの見てたんだ」
哉芽が怪しんだ目で静真を見た。
普段どちらかと言えば物静かな静真がこんなに
狼狽えるなんて…。
「見てねえって!」
昊はついにお腹を抱えて笑いだし、笑いすぎて
目に浮かんだ涙を手の甲で拭きながら
あ~おかしぃ、、なんて言って静真を見る。
「僕も見たい」
「見せるかバカ!」
「あ、やっぱりなんか変なの見てたんじゃん」
「いいじゃん見せてやれば」
昊が小さな丸いテーブルに肘をついて
ニッと笑った。
「は…!? コイツ小学生だぜ?」
「俺らだって小4?5? くらいの時に公園で
エロ本拾って、二人でこっそり読んだじゃん」
言いながら勝手に手招きをして、哉芽を部屋に
招き入れる。
ー だからって…!これは…エロ本なんて
かわいいものじゃないし!
静真達が見ていたのは、どこでどうやって
手に入れたかは知らないが、友人たちから
回り回って届いた、無修正のエロ動画だ。
アソコが丸見えの外人が格闘技のように
激しく交わるという、小学生には刺激が
強すぎると思われる映像だった。
ー こんなのカナに見せたくない…
昊は面白がって、哉芽を隣に座らせてシーっと
口の前に人差し指を立てた。
哉芽はうなずいて、昊の携帯を食い入るように
見つめる。
「カナ絶対母さんに言うだろ?
やっぱりみちゃダメ!」
静真が昊の携帯を取り上げた。
「言わないよ、言うなら今から行ってくる!」
再生される直前で目の前から奪われて
哉芽はムッとした顔で静真を見た。
「ほら~ だよなぁ?」
昊が静真から携帯を取り返して、ついに動画は
再生された。
無言で表情も変えず携帯の画面を見つめる哉芽を
苦々しく静真は見守った。
可愛い弟が下品なAVを見ている…。
なぜこんなに気持ちが悪いんだろう。
自分はさっきまで、昊と半勃ち状態で楽しんで
見ていたくせに。
哉芽には見せたくないのはどうしてか…。
息を止めるように、膝を抱えた姿勢で
画面を凝視している哉芽。
ー 哉芽が汚れてしまう………。
可愛くて、無邪気でキレイな哉芽が
汚される…。
そんな気がして見せたくなかったのだ…。
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