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哉芽は10分程度の映像を、最後まで
表情を変えず見続けた。
終わると、小さくひとつ息を吐いて、
終ったの?と、聞いた。
「どうだった?」
からかうように昊が哉芽を見た。
哉芽は無表情のまま立ち上がって
「キモかった」
と一言。
哉芽の反応がある意味 健全で
静真はホッとしてしまう。
哉芽は軽く伸びをして、本棚からマンガを一冊
取り出して、借りるね、と静真を振り返り
静真が、おお、と、返事をすると静かに部屋を
出ていった。
「まだまだ子供だなぁ」
昊はニヤニヤ笑って、また携帯をいじり始めた。
「ぉ、ぉぉ…」
静真は哉芽が気になって、そのあとは何をしても
上の空だった。
夕食を食べるときも、家族でテレビを見ている時も
哉芽の様子はいつもと変わらなかった。
静真の方はずっと、きまりが悪く
なんだか変に明るく振る舞ってしまったりして…
時間を戻して、やり直したい…。
そんな気持ちでいっぱいの夜だった。
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