1. 素晴らしい世界

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哉芽は10分程度の映像を、最後まで 表情を変えず見続けた。 終わると、小さくひとつ息を吐いて、 終ったの?と、聞いた。 「どうだった?」 からかうように昊が哉芽を見た。 哉芽は無表情のまま立ち上がって 「キモかった」 と一言。 哉芽の反応がある意味 健全で 静真はホッとしてしまう。 哉芽は軽く伸びをして、本棚からマンガを一冊 取り出して、借りるね、と静真を振り返り 静真が、おお、と、返事をすると静かに部屋を 出ていった。 「まだまだ子供だなぁ」 昊はニヤニヤ笑って、また携帯をいじり始めた。 「ぉ、ぉぉ…」 静真は哉芽が気になって、そのあとは何をしても 上の空だった。 夕食を食べるときも、家族でテレビを見ている時も 哉芽の様子はいつもと変わらなかった。 静真の方はずっと、きまりが悪く なんだか変に明るく振る舞ってしまったりして… 時間を戻して、やり直したい…。 そんな気持ちでいっぱいの夜だった。
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