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決別
2020年大晦日。今年はコロナで始まり大変な1年だったわ。
そして貴方と別居して丁度半年。
半年前まで一緒に住んでいた部屋の掃除納めをしましょうという事になり私は先にマンションの部屋に到着。
この窓から見える景色、季節感があって好き
だったわ。
「あ、先来てたのか。」
貴方が鍵を開けて入って来た。
「ええ。窓からの景色に見とれていたの。」
「君は、よくこの窓から外見ていたもんな。」
何気ない会話を交わした後、お互い手に雑巾を持ち部屋の掃除に取り掛かった。
2時間は経っただろうか。辺りは暗いがマンション先のネオンの明るさが今年の終わりを告げている。
「お疲れ様。そろそろ帰ろう。」
貴方は部屋の鍵を閉め車をマンション前に止め「駅まで送って行くよ。」と車の扉を開けた。
「ありがとう。」私は助手席に乗り込んだ。
半年前までの変わらぬ私達のスタイル。そして案の定貴方は「コンビニ寄ってコーヒー買って来る。」
「バタン。」車の扉を閉め貴方はコンビニに向かって行く。その後姿を見ながら無造作にギア横に置いてある私達の部屋だった鍵を私はバックに滑り込ませた。
「お待たせ。」
コーヒーを2人飲みながら大晦日の忙しなさと反対に静かにコーヒーを飲み干した。
駅に着き私は助手席から降りた。
「また、来年な。」
貴方の言葉に静かに微笑み返し
「じゃあね。」
と言って駅に向かった。貴方の車のエンジン音を後ろ手に聴きながら、前を見据え、貴方とは2度と来ないであろう私達のマンションの鍵を握りしめた。
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