りのちゃん、雲にのる

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「え? バレエでおどったときのこと?」 「ううん、ちがうの。手をうまくうごかせなかったから、ちょっとでいいから、はくちょうになりたいっておねがいしたんだ。そうしたらほんとうになってたの」 「えええ!」  そんなことあるのかな。  でも、あの手のうごきは、はくちょうになったからできるのかも。 「だからね、くもの上にのりたいって、しんけんにおねがいするの。そしたらできるから」 「うん。じゃあ、やってみる」  あやねちゃんと手をつないで、きゅっと目をつむった。  そして、つよくつよくおもった。 『ひかりのエスカレーターでくもにのせて』  しばらくすると、まぶたのむこうがとてもあかるくなった。  そっと目をあけてみると、くもからまっすぐひかりがのびている。  そして、そのひかりの中をするするとのぼっているの。  よこを見ると、あやねちゃんはまだ目をつむっている。 「ねえ、目をあけて。まわりを見て」  あやねちゃんは目をあけると、きゃっといっておどろいている。 「ほんとにできちゃった!」
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