りのちゃん、雲にのる

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 おうちが下に見えて、どんどん小さくなっていく。  たかくなるのがすこしこわかった。  あやねちゃんにきゅっとくっついた。  白いもやもやの中をぬけると、そこはくもの上だった。  足をおろすと、ふわんとからだがはずんだ。  あやねちゃんは、うわあといってはしっている。 「あんまりとおくにいかないでね」 「うん、わかった」  くもは、かたむきかけたお日さまのひかりでオレンジいろになってきた。  むこうの山のほうまで見えた。  おばあちゃんのおうちはあのへんかな。  おばあちゃんちにいったときのこと。 「りのちゃんのうたうのきくと、こころがあらわれるようやわ」  おばあちゃんは、にっこりわらっていた。  くもの上からでも、おばあちゃんにきこえるかなって、うたってみた。  そしたら、あやねちゃんがはくしゅしてくれた。 「りのちゃん、すごおくきれいなこえだよ。いつも大きなこえでうたったらいいのに」 「ほんと? ありがとう」  わたしはにっこりわらった。  むねの中が、ほかほかあたたかくなった。
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