二日目

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ベッドから飛び起きて背後を確認すると 案の定、あのピエロが壁に浮かび上がっていた。 昨日と変わらぬ不吉な表情が、視線の先にある何かを一心不乱に見据えていた。 後ずさりながら部屋の隅へと移動する。 途中で何かに躓いて、足元を見ると 無造作に置かれた天体望遠鏡の箱が埃をかぶっていた。 そういえば、東京に来てから一度しか空を見ていない。 周りに一年遅れて始まった憧れのキャンパスライフ。 自分だけで自由に使える家や時間。 二十歳になってからは宴会にも参加するようになって、 そうして気が付けば上京してから三か月が経っていた。 私は部屋の隅に体操座りをして、ピエロの監視を始めた。 あのピエロはいったい何者で、目的はなんだろう。 あれほどまでに夢中になって見つめるものって。 気になってその視線を追ってみる。 ピエロの(のぞ)む先には、窓があった。 おそらくこの時間、その先には月が見えているはずだった。 そういえば、以前は私も同じように、熱を帯びた視線で夜空を眺めていた。
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