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テレビで宇宙飛行士が月面着陸した映像を見て以来、
事あるごとにいつか月に行くんだと親に話していた頃だ。
「二十歳になったら大人だから、二十歳になったらぼく月に行くよ!」
まだ小学生だった私に届いた
その年のクリスマスプレゼントは
天体望遠鏡だったっけ。
「ねぇお父さん、月にメールって届くの?」
「どうだろうなぁ、テレビが放映できるくらいだから、届くんじゃないかな」
図書室にある宇宙の本を端から借りていたら
ニックネームがスペースシャトルになっていた事もあった。
「じゃあさ、じゃあさ、二十歳になって月にいるぼくにメールをおくってほしいんだ」
「うん、なんて送ればいいんだい?」
理系の高校に進学して、がむしゃらに勉強をした。
それでも希望の大学への進学はかなわなくて、
一年留年しても、航空宇宙学を専攻出来る大学を選びたいとわがままを言った。
「ぼくのかおの写真をとってさ、おくってほしいんだよ、月から見える?って」
「うん、わかった。じゃあ写真撮るぞ、ほらもっと笑って」
あの時シャッターに映った私の顔は、ピエロのように狂気的に純粋だったのかもしれない。
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