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「もういいや…… 拘束取ってやるから目的だけ教えて? 何でこんなド深夜に俺の家の天井裏を覗いてたの?」
「あの、あなたは/***///%&$###さんではないですか?」
忍者は私の名前を聞いてきたのだろう。しかし、名前の部分は聞き取れない。英語でもフランス語でもドイツ語でもない、そもそもこの地球上の言葉かどうかすらもわからない。
「え? 今なに言いました?」
「実はこの部屋に住んでいる/***///%&$###さんの監視が拙者の任務でして」
「はぁ? その…… 自分、学が無いんで発音出来ないんですけど! その何とかさんなんて知りません!」
私は自分の身分を証明するためにマイナンバーカードを差し出した。一旦、拘束を解除することも忘れない。それを受け取った忍者はバーコードリーダーのような端末を出し、ICチップに翳し、何やらブツブツと呟いている。流石は霞が関勤務、個人の照合はお手の物ということだろうか。
「あ…… すいません。こちらのミスでした。/***///%&$###さんは隣の県にある同じ名前のアパートの住人でした」
このアパート、名前はエスポワール・ルミナリエである。築40年、六畳一間1K四室構成のボロアパートにつける名前ではない。直訳すれば「希望の電飾」になる。ここの大家がルミナリエを「輝き」と間違えていたとしか思えない「ダサい」ネーミングである。同じような名前のマンションならいくらでもありそうだ。まさか隣の県にも同じネーミングセンスで付けられたアパートがあるとは思わなかった。世の中広いものである。
「実は…… /***///%&$###さんと言う方が我が国家にとって監視対象になっておりまして…… 拙者も夜間監視を数日前から仰せ受かっていたのです」
「ところが、住所が違ってることに気がつかずに無駄に俺を監視してたってことか」
「面目次第もない…… 給与査定にまた響く……」
「アンタの給料なんか知らないよ」
無駄に監視されていたと言うことか…… この国の諜報機関はどうなっているんだ。私が訝しげた瞬間、ふと閃いてしまった。
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