仕事終わりのアルコール

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仕事終わりのアルコール

「お疲れさま、お先にー」 いつものように同僚の早水真子に声を掛けた時だった。 「あれ、もう帰っちゃうの?那月」 「うん…」 特に急ぎの仕事もないし、今日できる分は済ませてしまっている。 「ね、飲み行かない?イケメンの店員さんがいるバーなんだけどさ。最近お気に入りなの」と、こそっと耳打ちをされた。 (飲み、ねぇ…ま、いっか) 頷くと、「五分で片付けるから待ってて」と真子のキーボードを打つスピードが速くなった。 「ここだよ」 駅前通りからは少し離れた、とあるビルの地下一階にそのお店はあった。 カランカラン 「こんばんはー」 「いらっしゃいませ…あ、真子ちゃん、と」 視線が私に向けられ、慌てて会釈をする。 「同僚の神田那月。連れてきちゃいました」 「神田です」 今度はペコリとお辞儀。 「いらっしゃいませ。オーナーの満島尊です」 どうぞ、と柔らかな笑顔(営業スマイルだろうか)でカウンターの席を勧められる。 180センチはあろう長身に精悍な顔立ち、ゆるくウェーブのついたヘアスタイル。なるほど、真子のお気に入りなわけだ。 「あ、私いつもので」 「かしこまりました。えーと、那月ちゃんは?」 「…できれば甘めで飲みやすいやつをお願いします」 「アルコール得意じゃない?」 「えぇ、あんまり…すみません」
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