途切れた足跡の謎

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 チャペックってのは、チェコからの移民の子で、いつも犬のマンガを描いてる地味な男子。アルセーヌってのは、フランスから来た気どった転校生だけど、ぼくらのクラスの子じゃあない。だから、今ここにはいない。 「ねえ、チャペック君。君の謎って?」  チャペックはモジモジと話した。 「アルと話しをしてたんだ。まだチェコにいた頃、雪の日に足跡がぼくの家の前で途切れていた。もちろん家に誰も入っていない。引き返した跡もない。どう考えてもおかしいだろ?で、父さんが警察を呼んだんだけど、警官の足跡でめちゃめちゃになっちゃって、謎は解けなかったんだ」 (註 チェコの作家カレル・チャペックの短編集「ひとつのポケットから出た話」の「足あと」より。この短編では、謎は解けないままはぐらかされて終わる)  ぼくとアガサとチャペックは顔を見合わせた。 「誰か、この謎を解ける?」
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