16人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
チャペックってのは、チェコからの移民の子で、いつも犬のマンガを描いてる地味な男子。アルセーヌってのは、フランスから来た気どった転校生だけど、ぼくらのクラスの子じゃあない。だから、今ここにはいない。
「ねえ、チャペック君。君の謎って?」
チャペックはモジモジと話した。
「アルと話しをしてたんだ。まだチェコにいた頃、雪の日に足跡がぼくの家の前で途切れていた。もちろん家に誰も入っていない。引き返した跡もない。どう考えてもおかしいだろ?で、父さんが警察を呼んだんだけど、警官の足跡でめちゃめちゃになっちゃって、謎は解けなかったんだ」
(註 チェコの作家カレル・チャペックの短編集「ひとつのポケットから出た話」の「足あと」より。この短編では、謎は解けないままはぐらかされて終わる)
ぼくとアガサとチャペックは顔を見合わせた。
「誰か、この謎を解ける?」
最初のコメントを投稿しよう!