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その日の朝はよく晴れていた。夜のうちに積もった雪がロンドン郊外の町を覆っていた。ぼくと親友のホームズが教室に着くと、みんなが窓際に集まって外を見ていた。ぼくが窓に近づいてみると、校庭は一面雪化粧。
「わあ、きれいだね」と、ぼく。
すかさず、クラス委員の知性派女子、アガサが言う。
「ワトソンくん?君の感想って『きれいだね』なの?あれが見えない?」
ぼくは真っ白な校庭に目が眩みそうだった。ようやく目が慣れてくると、門の方から校庭を横切るように足跡が点々とついている。
「足跡だね・・・・あっ!」
思わず声を上げてしまった。足跡は校庭の真ん中で途切れていたんだ。
アガサは、ぼくの耳たぶを引っ張って黒板を見せた。黒板には大きくメッセージが書かれていた。
〜チャペック君の謎は解けた
君たちには解けるかな?
(ぼくは、今朝ひとりでこの足跡をつけた)
アルセーヌ・L 〜
(図 校庭の足跡)
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