第一章 降りかかった災難

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第一章 降りかかった災難

 君を確実に破滅させることが出来るならば、公共の利益の為に僕は喜んで死を受け入れよう。  Byシャーロックホームズ~最後の事件より~  yo!皆さんごきげんよう。山岸一馬の友人の中村雄一です。  ろくすっぽ勉強もできないのに予備校へ行っていた俺たち落ちこぼれ二人ではありますが、二学期が始まり、一学期期末で、何とか右上がり傾向の順位を伸ばしつつ、中間へ向けて、もっと頑張れと、母ちゃんからケツをたたかれていたある日。  またもや、典子(妹)がやらかした。 もう、小さい子もいるって言うのに、俺たちのマネして、探偵団ごっこ、もう、あぶねえったらありゃしねえ。  あれ?ここはどこだ。 エーんとものすごい鳴き声で目が覚めた。 「お兄ちゃん、あんたのせいでまた足が動かなくなったらどうするの、あれだけやめろってお兄ちゃんに言われてたでしょう!」 母ちゃんのデカい声。 ああそうか、俺、車にひかれて。 「かあちゃん、兄ちゃん目、開けた」 「雄一!」 「お兄ちゃんごめんなさーい」 良かった典子が無事で。 看護師さんが来て、先生が来て、事故までの事を覚えていますかと聞かれ説明し始めた。 たしか、今日は、ばあちゃんのホームスティ先の老人ホームから呼び出しを受けた両親の代わりに、俺は、バタバタと支度をして、一馬には、遅れるかもしれないとラインして家のことをして、予備校へと向かったんだ。  大きな幹線道路、この先はW大がある、歩道橋を超えて行けばいい。 熱いのか、大きな交差点のそばにある街路樹の下でなにやら笑っている典子の仲間のちび達。 まあいいけれど、そのうち、典子が何かの箱の上に立って踊っているように見えた。 危ないなと思っていたら、キキキーというブレーキ音。 ボンという音がして目をやった車が衝突!するとぶつかった車が、典子たちのいる方に向かってスピンして突っ込んでいく。 「逃げろ!」 その声にびっくりした健ちゃんがちびを離した。 動けない典子、何もかもがスローモーションに見え、典子を引っ張り、視覚になって道路の見えない健ちゃんを抱きかかえ、俺は飛んだ。 飛んだんだ… 「そのあとは覚えているかい?」 「いいえ、さっき目が覚めるまでは」 「そうか、君は一日ここで眠っていた、二人も助けてくれたんだな、よくやった、これは警察に言っておく、今はゆっくり寝なさい」 「・・・はい」 そのまま、また俺はすっと眠ってしまったそうだ。  二学期が始まり、二週間。はるみの事件でわさわさして、事件は一応解決と一馬は言っていたけど、一応ってなんだよって言ったら、まだわからないことが三つあると言っていた。 夏休みが終わり、はるみも落ち着いて今俺たちと同じ予備校へ行っている。 まだ三つの分からないことはセンタも聞いていないという。はるみにいたっては聞くのもまだ気が引けて俺自身が聞けていないといったところだったのだけど…。  こんなことが起きるなんて夢にも思わなかった。    一馬は、田神さんに、ストーリーとは同じにならないでくださいって言ったのに、自分が巻き込まれて、どうすんだよ。 事件は、もう、始まっていたんだ。
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