第一話 消えたコンビニ

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第一話 消えたコンビニ

「はー?!」 その人のでっかい声が部屋に響いた。 部屋を変えると隣の部屋に入っていく。 その時はまだ、一馬君の母親の保険会社にそんなことが起きているなんて思いもしなかった。 電話が鳴り取り上げた人。 「今席をはずしています、はい、すぐに伝えます」 ノックすると、くそっ!という声がする。珍しい、あの表情のない上司がこんなにも怒っているような顔。隣でも、クールフェイスが怒っていると言っている、何かが起きたのだろうか? 出てきては何度も何度もスマホを掲げている。 どうしたの? さあ?としか答えることができなかった。 そのうちバンと机を叩き驚いた。 「こんな時に限って、誰も出ないってどういうことだ?」 ボス、どうかしたんですか? 眼鏡を押し上げ、すまんというけど、これは何かあったな。 「まさかと思うけど、シャーロックたちですか?」 それに返事をしないボス。 「ビンゴ!だったりして!」 そいつの口に手を当てた。 「ちょっと出てくる」 「出てくるって、会議ですよ、時間です」 するとボスは、感情をあらわに、ドアをおもい切り叩いて出て行った。 みんなが不思議な顔をしたりジェスチャーをしていた。 平穏な日に思えた、だがこれがとんでもない事の始まりだったんだ。 世の中は、シルバーウィークなる三連休へ突入、俺たち三年に取っちゃ、そんなの関係ない、進学するのも就職するのも大変だ、そんな火曜日、雄一のスマホは土曜の朝を最後に連絡がつかず、まあ今日でもいいやと思い登校した月曜。あいつの家のことはわかっているつもりだから、まあ大丈夫だろうなんて思っていたが、ダブリンからケガをしたと聞き、それでスマホが使えないかと、夜にでも連絡すればいいかなどと、そんなに考えもせず、一日を終え、久しぶりにいつものコースを帰ることとなった。 今日まで、雄一の家の方からばかり通っていたので、こんなことになっていようとは夢にも思わずにいた。 夕方の図書室には行けずに、俺は雄一の分もノートを取っておかなきゃと、予備校へまっすぐ向かった、だからあいつの事故のことなんかは知らなかったんだ。 そして、はるみと二人俺は久しぶりに駅のほうから帰っていった。はるみも心配していたけど、瑛二や典子とも連絡が取れないんじゃどうしようもないと、夜には電話して聞いてみるといってマンションの前で別れた。 そして、いつもの公園のそばのコンビニ、その前には張り紙が一枚。ばたばたと駆け寄り、バンとシャッターに手を付いた。 長い間・・・ う、ウソだ!俺が物心ついた時からあったコンビニが消えたー!オーマイガー!俺はどうしたらいんだー、閉まっているシャッターの横からは、まだ陳列されたままの商品が見えてます。 こんな時代です、コンビニもつぶれる時代です。 それにしたって、今はねえだろう・・・ 道行く人が俺と同じようにここまできて張り紙を見ています。
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