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第五話
「へー、こんな簡単に行くかな?」
「案外鏡なんてどこにでもあるからね、気が付かない可能性もある」
「ましてやコンビニだ、天井にまで鏡はついているからな、死角になりそうなものはごまんとある」
「そんなもんかな?」
「わり―、なんだよ、みんなもう食い終ってんじゃん」
「外岡、遅かったな」
ごめんごめんと日向先輩も一緒に来た。
「ちょっとな、なあ一馬、お前吉田と仲がいいんだって?」
ああそういえば外岡さん大学同じか?
「何で知ってんの?」
友達つながりで、新聞の話になって吉田さんの名前が出てきたんだそうだ、バイトをしている。
そんで、ここに集まるって言うから情報収集のつもりで吉田さんに会いに行ったら、俺の名前が出たと言うわけ。
「今日は仕事できなかったみたいだ、警察はシャットダウンしたそうだ」
「まあここで飯食ってるから今日はよかったよな」
「俺はいいけどな、働いている人は死活問題だよ」
「まあな、でな、いい物入手した」
いいもの?
「見て驚け」
そう言って出したスマホ。
「これどうしたんですか?」
「ちょうど通りかかったのがいたんだよ、でな?これ」
外から取った動画はちょっとぶれていたけど、十分中を見ることが出来ていた。
丁度店長がなかに入って、驚いて腰を抜かしている所からだ、これならば彼は無実だ。
「おい、みろ」
「ゾンビかよ!」
そう思ったのは、ぶれて、カメラを下から上にあげた時何かが写り込んだんだ。
「え?あ、止めて、行き過ぎ」
戻せ、戻せ。
「なんだこれ?」
「下にもう一人いた?」
中をうつすと、レジ横の事務所の壁に隠れてこっちを見ている店長がしっかり写っていた。
「これ足?」
「あー言われるとそうかも?」
一瞬だったが、本棚の間から見えた中には、人がムクリと起き上るのが映りこんでいたんだ。
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