第八話

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夕方、店長さんはうちに来て頭を下げて行った。 母ちゃんは上がれと言って家にあげたんだ。お茶でも飲んでいけってね。 店長さんは警察にこういわれたんだそうだ。 「嫉妬ですか?」 「ああ、あんな事件があっただろ?その後マスコミにも挙げられてテレビに出たりしたじゃないか」 「まあ、被害を受けたんだ、売上貢献でよくない?」 「うん、でも彼は、そうは思わなかったみたい、実は彼にもマスコミはいろいろ聞いていたんだ、あの日、彼が搬送してきたときは、外で待たされただろ?俺の店で時間をとった挙句、次の店には遅れて行って、怒られて、頭下げて、それでもテレビに映るかもしれないって、友達に言いふらしたけど、結局どこも取り上げられないで、俺ばかりが写っていた」 「なんだよそれ!」 「ただの僻みじゃない」 「でも彼はそうは思わなかったんでしょうね、その後も、俺たちは客と楽しそうにしていて、彼はただ荷物を上げ下ろしするだけの仕事で、借金も抱えていたみたいですしね」 とにかく、何もなくてよかったよ。 彼は少し肩を落として、いろいろありがとうなと言って帰ろうとしたんだ。 「やめないでくださいね」 「はい、ありがとうございます」 「明日も行くからね」 「うん、ありがとうな」 そう言って帰って行かれました。
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