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第四話
今晩ならいいとすぐに出かける準備をした。「何でおやっさんなんだよ」編集長が付き添いできた。
「テメ―のお目付け役だ、かわいい千晶ちゃんに頼まれてんだ」
「わかったよ、しっかりフォロー頼むぜ」
「お前なー」
「きた!」と俺は立ち上がった。
向こうは広報の部長さんと関係者の二人の男性がやってきた。
遠征先のホテル、そこで会ってもらう事となった。挨拶をして、俺は核心に迫る。
「これを見てください」
写真を見せた。
「これは?」
「先日、俺の知り合いが、相談に来たんです、仕事で、控室に入った時、見つけたんだそうです」
「それとこれ、中をご存知ですか?」
薬の写真。
「あいつ、まさか」
「怪我じゃあありません、どっちかというと、病気、ですかね」
「病気だって?」
なにが入っているのか教えた。
「いじめ?ですか?」
「いじめを苦にしているのか?」と二人はロッカーの写真を見て言う。
「多分、それと、これを、知りあいが俺に預けたんですけどね」ビニル袋に入った物を出した。
「アクセサリー、こっちは?」
「タオルです、それも古い」
俺は、坂崎が入団してきてすぐ、暴力沙汰を起こしたことを話した。
新人で、二軍、些細なケンカと揶揄やされ、記事も小さなもの。
でも、そこにはちゃんとした理由も何もなくて、書いた人から詳細を思い出せるだけ聞いた時ピンと来た、いじめにあって我慢が爆発したのだと。
「あいつは、何も言わなかった、謝りもしなかった、それはアイツに非がないからだと思っていたが」
「だから、新人王をとって見返してやりたかったとしたら?」
「それと、これとどういう関係が?」
「調べました。このタオルと、この指輪、あいつのお父さんの形見です」
「形見?確か、母親はいたが、そうか父親が早くに死んでる」
控室の天井裏から出てきた。投げ入れたのか奥の方で埃をかぶっていた。俺はそれをかえしてやってほしいと頼んだ。
「お恥ずかしい限りです、何とかAクラスに残れたものの、これでは」
「部長さん、まだあの子は、二十歳そこそこだ、つぶれちゃもったいないです、何とかなりませんか、もうオフの時期に入る、話しはいくらでもできるでしょ」
編集長が言う。
「あのー・・・」
俺は、もし構わないのなら、それを見つけたやつから返してやってもらえないか頼んだ。
「晃、それは・・・」
「・・・あの、お願いできますか、私が返すより、その見つけて下さった方が返された方が、それと大上さんもその場にいて下さるんですよね」
「はい」
「マネージャーをつけます、よろしくお願いできますか?」
「ありがとうございます」
そのあともいろんな噂が出ていることの真相を知らないか彼らに聞いたのだった。
「晃」
「はい」
「こんだけの事があると何か裏があるな、聞きだせるか?」
「何とかやってみます」俺は編集長とその話をまとめ、改めて聞きだそうと杉の事務所へ彼を招待したのだった。
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