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第五話
「これくらいでいい?」
俺は今、杉本のばあちゃんの家に来ている、目の前にはおいしそうなものがずらり。手を伸ばしつまんでみた。うまいよなー。
「まあ多い分にはいいよ、大丈夫?」
「うん、尚と祐もいるし」
「ごめん」
「いいわよ、ちゃんとサイン貰えるんでしょうね」
「わかってるって」
ばあちゃんちで、食事をとってもらう、話しは、杉の事務所でしてもらおうと、社長と、がんちゃんと、シンと待っていた。
車が止まった。
俺は外へ出た。
「大上さんですか?」
マネージャーさん、名刺交換をした。
「坂崎投手、すみませんこんな遠くまで、どうぞ中へ」
「ほんとに何でもやなんだ?」立ち止まって看板や店の前を見ている。
「古いだろ、戦前からの家業だ」
「へー、こんばんは」
「すげー、本物」
シンの声がした。
俺はみんなを紹介がんちゃんは、イケメンで身長もある、だがシンは158とちょっと小さい、だがその分身軽だ。大きな体の社長が前に立てば隠れてしまう。そんな中にもっとでかい人が入ってきたんだ、俺も圧倒される。
「こいつは球場で会ってるよな、名刺は彼だ」
「ども、岩本です」
座ってもらった。
「マネージャーさん広報部長のお話はお聞きになりましたか?」
「はい、一通り」
「彼は」
「大体は、きいた」
「そうか、がんちゃん」
「これ、あの後、見つけたんだ、君のだよね」
テーブルの上に広げたもの。
「これ、どこで!」
「天井裏、俺みたいなちっこいのじゃないと入れなかった」
「よかったー」
「形見だもんな、俺も親が死んでるからよくわかる」
「それをどこで」
「晃さんが調べてくれた、高校の時新聞に載ってた小さい記事拾って」
「だてに記者さんやってないっすね」
シン!とがんちゃんにいわれて首をひっこめた。
「・・・あの球場は、オヤジが作ったといってもいいんです」
土木作業員だった父親はこの球場の基礎を作った会社にいたそうだ。球場が出来た時、配られたのが、このタオル。
「指輪もお父さんの?」
「これは、父の会社の社長さんです、父が死んでから面倒見てくれて」ネックレスは親友たちから、ブレスレットは母親からだったそうだ。
「でもなんで?」
「たぶんしっとです、犯人は目星がついてます」
マネージャーが言う。
「でも、薬飲んで我慢するほど、だめだよ」
「だからこいつは必至でやってきたんです、新人王もとりました、もう寮にいなくてもいい、今マンションを探している最中なんです」
じゃあ、いろんな噂があるのは、もしかして、選び方間違ってるんじゃねえの、シンがこそっと言った。
それも聞いてあるが、知らないふりをした。
「そう言われると、確かに、芸能人の方が住んでいるところになってしまいますね」
「坂崎さん、お母さんと住むことは考えていないんですか?」
「母は、俺に負担かけたくない、老いは必ず俺の負担になるからいいって」
「君はどうなんだ、一緒に住みたいと思わないのかい?」
「すみたいです、一緒にいられるんだったら……」
「それじゃあ、俺に相談してもよかったんじゃねえの」
「岩本さんに?」
「俺、何でも屋」
「不動産会社に知り合いもいるよ?」
「部屋、すむところ探してくれるんですか?」
「依頼されれば探しますよー」とにっこり笑う社長。
彼の顔色が変わった、これで少しは不安が解消されるかな。
「それじゃあ、お願いできますか、マネージャー頼みたいです」
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