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「ん?どこだ?あー、バーちゃんちだ、何時だ?五時か、しょんべん」
さてと、昨日の事を記事にして、写真も使っていいって言われたし。そうだ、白い恋人、持って行ってもらったかな、ん?白い恋人?
「ウワー―――!」
「何!」
「どうした!」
「地震?」
「んー、寝ぼけるなよなー」
「晃―、どうした?」
シューっと走ってきた千晶がのぞいた。
「あわわわ、ち、千晶、思い出した」
何を?
「北海道行ってきた」
「おもいだした?」
「うん」
「よかった~って、ちんちんしまおうか」
「え?あ、うん、ごめん」え?と下を見た。あ、うん、ごめん、としまった。
「酒飲んで頭の血が上ったんじゃな、それで思い出したんじゃ」
「よかったー」
「ほんとだよ」
「悪かったな大声出して」
朝飯、みんながテーブルに着いた。
昨日、あの後のことを聞いた。
飲んで、食べて、機嫌よく帰っていった。がんちゃんはいい物件を探しておくと約束して。サインももらったし、写真も撮った。祐たちは俺のカメラを勝手に使ったと言っていたが、そんなの構わなかった。彼、坂崎投手が今後、変わってくれればいいのだから。
部屋に戻っていろいろ話した。
「よかったのかな?」
「ねえ、どこまで思い出した?」
「んー、全部じゃないかも?」
「全部じゃない?」
千晶に座れといった。
「なに?」
抱きついた。
「もう、朝っぱらから」
「いいだろ?」
「だーめ」
「なんで?」
「そこ、思い出すとこでしょ?」
「ん?あーわかってるよ、ここは、ばあちゃんちだもんな、隣で聞いてるだろ、出て来い、分かってんだぞ」
尚と祐がふすまを開けた。
「よかったね、戻って」
「俺なんも聞いてねーし、さーてと、学校」
支度をしながら弟たちの話に耳を傾けた。
感謝だな、俺がいない間いろんなことを聞き出してくれて、大きな収穫があった。坂崎の痛み止めは、指のケガ、大したことはないが、傷より、痛みのほうが勝るので薬は手放させないんだそうだ。
まだあの薬の真相は聞き出してはいない。
がんちゃんが探したマンションは、すぐそばに病院があり、もし、結婚しても、二世帯住宅のように区切ることができる物件だった。
場所もいいし、治安もいい、年寄り向けの施設もありそうだ。
坂崎選手は喜んだ、そして騒動は幕を下ろすかのように思えた。
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