第五話

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 がんちゃんが探しだしたマンションは、場所もいいし、治安もいい、年寄り向けの施設もありそうだ。  数件アップしてマネージャーさんに送ったらしい。 「晃」 「なんすか?」  副編集長、ネットの確認をしろと言われた、どうもあの球団、まだなんかかくしているようだ。 「また女がらみスカ?」 「それしかねえだろ、部数伸ばすには」 「はいはい、調べますよ」  ネットの書き込みは、新聞社宛てのいろんなかき込み、悪口や、どうでもいい話、その中にたまに本当のことをリークしてくる奴がいる。俺達は謝礼を払わない、それは、こんなふうにどうでもいい話が真実になる事はないのをわかっているから、俺らが求めるのは真実だけだからだ。  それでも小町ちゃんのように真摯に送ってくれるユーザーがいるのも確か、じっくり見ないといけないと反省させられた。  神田選手の名前が多いな  いじめか?でも、これは…まさかこいつが、張本人?  神田選手は、坂崎選手の一個上の先輩、同じ高校出身、俊敏な彼はサードを守っている。  ネットの書き込みは、飲み屋での豪遊、金使いの粗さ、そして姉ちゃんたちの、あっちがへたくそという書き込み。ただ日付が集中しているのに違和感、いじめという言葉がすぐに頭に浮かんだ。 「ふむ、そんな、活躍してねえよな、ちょっと聞いてくるか」  スポーツ新聞にとって、スポーツ部は、花形、そこにいる同期、あまり好きではないが、仕事が出来るからこんな時だけ聞きに行っている。 「ノブ、暇か?」 「おう、そんなわけねーだろ」 どうだ頭は、バカのままかと言われた。そこはスルー。 「あのさ、ちょっと聞きたいんだわ」  神田選手のこと坂崎選手との仲の悪さ。 「あー、先輩後輩だろ、ゆうこと聞けってよく言ってた、けどあいつは新人賞取ったりで、嫉妬だよな」 「故障は?」  無い、聞いてもいない。 「女は?」 「まあ、アンだけ遊んでいればな」  成績は? 「あー、そういえば夏から悪くてな、来シーズンは二軍スタートだな」  もう、わかるのかと聞いた。  俺とできが違うと笑われた。  去年は二位までいったのに今年は最下位スタート、何とか三位Bクラスに落ちなきゃいいけど、これじゃあなといっている。 「なんか追ってるのか?」 「ああ、坂崎投手のいじめの先にあるものかな」 「いじめ?高校時代までさかのぼるか?」  高校時代?何かあったのか? 「ああ、出来が違い過ぎたんだ」 「ふーん」 「ふーんって違うのか?」 「んー、でもそうなってくるかな」  もしもの時は聞いてくれと言われた、その時は頼むと言っておいた。 俺は、もう、嫁のせいで、みんながあてにしているところがあるからと言われた。そんなに俺活躍してたのかな?
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