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まあ生活に支障はなさそうだし、一応、私たちの仲人である、編集長さんには連絡をしておいた。
「編集長が仲人?」
「そうよ、ほら、写真」
私達を挟むように編集長と奥さんが並び、その上に晃さんのご両親と叔父さんと叔母さんとおばあちゃんが並んだものを見せた。ウェディングドレスは、晃さんのお母さんが借りてきてくれた、少し大きかったけど、うれしかった。
「そうか」
「また、頭を打てば戻るかもね」
「でも今は痛いからやめてくれ」
晃さんはカメラの中をのぞいていた、動画を見てはうれしそうな顔、私は何か思い出せればと、彼の友人たちからもらってきたものを机の上に置いた。
「絶対お前は結婚できないと思ってたのにー」
そう言いながら抱き着く男性。
「俺も東京に出る」
「無理だべさー」
「そうそう、顔じゃないのよね」
「わるかったな」
なんてあの日の夜彼の友人たちと飲んだのを思い出していた。
「そろそろ寝よう、頭痛くない?」
「うん・・・あのさ」
「なに?」
まだ夢の中にいるようだという、部屋いっぱいに置かれたベッドは、前のとは違う、こんな大きなベッドじゃなかった。
「そうよ、だって、三人で寝るには前のは小さいでしょ、でもとってあるわよ」
「どこに?」
「尚が使ってる」
尚って弟か?そうよと答えた、その辺もあやふやみたい。
「そうか、三人か」
へへへと笑っている。
なんかかわいそうになってきた。早く寝ようと言うが遠慮なのか一緒に寝ようとしない。
カメラを取り上げた。
「明日は仕事、早く寝ないとしんどいからね」
「ん?うん」
仕方がない、手を取って、一緒にベッドにもぐりこんだ。
照れている顔、初めてじゃないけど、なんかかわいい。壁の方を見て私に背を向けた。
まあいいか、私はその背中にくっついた。
まわした手を握っている。不安だよな。
「大丈夫だよ、みんながいるからね」
震えている、かわいそうに……。
プーッハハハ!
「何?」
「俺、本当に結婚したんだ、ざま―見ろ」
笑いながら言う彼が体をくるっと向けて抱き着いた。
「大好き!」
「うん、好きよ」
「だい、だい・・・だい・す・き」
寝ちゃった、薬効くの遅い、まあいいか、朝までぐっすり寝てください。
彼に抱かれたまま私も眠りについた。
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