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車の中で話を聞いている、去年の新人王のスキャンダル。
格好の餌食となっているが、これといってスクープとなるようなネタではないのだそうだ。
ただ女性が絡んでいると、読者は素直なもので売り上げがいい、そこで週刊誌の番だ。
「へー、投手、新人王ね」
「それが、二股どころか、三なのか四なのかってとこですよ」
ふーん。
本当に覚えてないんですねと言われた、芸能もスポーツも、スコンと抜けているようだ。
「まあ、晃さんみたいな人でも、あんなかわいい奥さんもらうんですから、この世の中わかりませんけどね」
「焼いてる?」
「そりゃ、許されるなら変わってもらいたいですよ」
「やらねーもん」
「殺されそうだから手は出しませんよ、またごちそうしてくださいよ」
「何、飯食いに来たことあるの?」
「ありますよ、わー、それも忘れたか、杉本のばあちゃんとこにも行ったし、晃さんちにも三回ぐらい行ってますよ」
へーそうなんだ。
「ほんとに記憶ないんですね?」
「もどんなかったらどうなるのかな?」
「別に支障はないんじゃないですか?」
そうなのかな?
大事なこと忘れていないのならいいんじゃないですかといわれ、顔はにやけるばかりだった。
「球場見えてきましたよ」
セリーグ、ちょっと優勝から離れているが、去年は彼のおかげで、二位で終わった。
クライマックスにまで行けたのでだいぶ騒いだらしい。
そうなんだ。
広報部の人が来て挨拶。
「大上ですよろしくお願いします」
「真崎です、では写真撮らせていただきます」
広報の方にあいさつ出来たじゃないですかといわれた。まあそんなことは何となく言われなくてもできたようだ。練習風景を撮るだけ、まだ秘密だと真崎に言われているが、どうなんだかなー?
俺は写真を何枚か取って、カメラを動かした、ファインダーに映り込む、知っている人のそっくりさん?ピントを合わせると知っている人だ。。
「あれ?がんちゃんだ、おーい」周りの人が見るも大きく手を振ると気が付いたようだ、手を振って走ってくる。
「あれ、晃さん、真崎さんも」
岩本君、通称がんちゃん、シンくんという年下の子といつも組んで仕事をしている。杉さん所のイケメン君だ、そういや、ホストしてたよな?あれ?
「仕事?」
「ええ、地下に、水が入り込むから、入り口探してほしいって」
「先輩やりましたね?」
「何が?」
「ああ、そうか?」
「どうかしたんですか?」
真崎ががんちゃんに説明。
「記憶喪失?」
「そうなんだって、千晶ちゃんと付き合いだしてから昨日までのことがぽっかり」
「じゃあ、俺たちのことは?」
「かろうじて覚えてる」
「そうか、また頭たたけば治るかも」
「今はやめてね、傷痛いし頭もいたいから」
「お大事に、で、今日は?」
コショ、コショ。
「真崎!」
「もう、いいんですよ、ファミリーなんだから」ファミリー?なんのこっちゃ?
「俺でよければ力になりましょうか?」
「いいよ、仕事しろよ」行けというと手を振って行っちゃった。
「もうチャンスだったのに」
「いいよ、ちゃんとやれ」
「はーい」
そうか、俺、杉の会社の人ともなんかしてたんだ、帰ったら聞くか?
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