第二話

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 車の中で話を聞いている、去年の新人王のスキャンダル。  格好の餌食となっているが、これといってスクープとなるようなネタではないのだそうだ。  ただ女性が絡んでいると、読者は素直なもので売り上げがいい、そこで週刊誌の番だ。 「へー、投手、新人王ね」 「それが、二股どころか、三なのか四なのかってとこですよ」  ふーん。  本当に覚えてないんですねと言われた、芸能もスポーツも、スコンと抜けているようだ。 「まあ、晃さんみたいな人でも、あんなかわいい奥さんもらうんですから、この世の中わかりませんけどね」 「焼いてる?」 「そりゃ、許されるなら変わってもらいたいですよ」 「やらねーもん」 「殺されそうだから手は出しませんよ、またごちそうしてくださいよ」 「何、飯食いに来たことあるの?」 「ありますよ、わー、それも忘れたか、杉本のばあちゃんとこにも行ったし、晃さんちにも三回ぐらい行ってますよ」 へーそうなんだ。 「ほんとに記憶ないんですね?」 「もどんなかったらどうなるのかな?」 「別に支障はないんじゃないですか?」  そうなのかな?  大事なこと忘れていないのならいいんじゃないですかといわれ、顔はにやけるばかりだった。 「球場見えてきましたよ」  セリーグ、ちょっと優勝から離れているが、去年は彼のおかげで、二位で終わった。  クライマックスにまで行けたのでだいぶ騒いだらしい。  そうなんだ。  広報部の人が来て挨拶。 「大上ですよろしくお願いします」 「真崎です、では写真撮らせていただきます」  広報の方にあいさつ出来たじゃないですかといわれた。まあそんなことは何となく言われなくてもできたようだ。練習風景を撮るだけ、まだ秘密だと真崎に言われているが、どうなんだかなー?   俺は写真を何枚か取って、カメラを動かした、ファインダーに映り込む、知っている人のそっくりさん?ピントを合わせると知っている人だ。。 「あれ?がんちゃんだ、おーい」周りの人が見るも大きく手を振ると気が付いたようだ、手を振って走ってくる。 「あれ、晃さん、真崎さんも」  岩本君、通称がんちゃん、シンくんという年下の子といつも組んで仕事をしている。杉さん所のイケメン君だ、そういや、ホストしてたよな?あれ? 「仕事?」 「ええ、地下に、水が入り込むから、入り口探してほしいって」 「先輩やりましたね?」 「何が?」 「ああ、そうか?」 「どうかしたんですか?」  真崎ががんちゃんに説明。 「記憶喪失?」 「そうなんだって、千晶ちゃんと付き合いだしてから昨日までのことがぽっかり」 「じゃあ、俺たちのことは?」 「かろうじて覚えてる」 「そうか、また頭たたけば治るかも」 「今はやめてね、傷痛いし頭もいたいから」 「お大事に、で、今日は?」  コショ、コショ。 「真崎!」 「もう、いいんですよ、ファミリーなんだから」ファミリー?なんのこっちゃ? 「俺でよければ力になりましょうか?」 「いいよ、仕事しろよ」行けというと手を振って行っちゃった。 「もうチャンスだったのに」 「いいよ、ちゃんとやれ」 「はーい」 そうか、俺、杉の会社の人ともなんかしてたんだ、帰ったら聞くか?
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