第二話

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 その後、ブルペンで投球練習を見た。軽く流して引っ込んでしまった。 「もう終わり?」 「おかしいな、故障でもしてるんじゃねーか?」 「でもそんなふうじゃ」 「病気とかは?」 「ああ、俺調べてきます」 「おう」  ズキッ、頭が痛い、目の奥が痛み出した。  薬、水、水。  水道を見つけ、薬を出して飲んだ。ゴミ箱に入れようとして、同じような薬の入れ物があるのにきづいた。  ここにいる選手か?  あたりを見回す、ほとんどが彼狙いか、出て行くとぞろぞろと後追う。何となく俺はそれを取り上げポケットに入れた。    社へ戻って来て、俺はそれを眺めていた。  夕方で戻ってくる人の波を見ていた。  そうだ! 「川島さん」 「オー、お疲れ、土産もらったよ、なあ、お前、記憶喪失ってホント?」  千晶が来てくれた、ちゃんと部長たちにも話をしていってくれたそうだ。 「うん、北海道に行ったの憶えてなくてさ」 「ハーン、じゃあ、その間に俺が千晶ちゃん狙って」 「馬鹿なこと言わないでくださいよ俺、パパですよ」 「ほう、それは覚えてたか、残念」 「もう、あの、これ、調べてほしいんですけど」 「何だ?ヤク・・・か?」 「たぶん普通の薬、これ俺の、裏に名前があるんすけどどーもわかんなくて」  ポケットから痛み止めを出した、それを裏表見ている。 「ふーん、いいけどね、ネタは共有してくれるんだろうな?」 「あの、それ、俺がしてたんですか?」 「おい、マジで忘れたか!」 「んー、憶えてなくて」 「晃、お前別れろ、千晶ちゃん俺にくれ」 「はー?」 「あげまんですよ、晃さん千晶さんと出会ってからずーっとつきっぱなしで」 横に座ってる後輩記者が言う。 「そうなの?」 「そうだ、別れろ」 「嫌です」 「当たり前ですよ、やっと晃さんにも光がさしてきたんですからねぇ」  そんなことを言われ、それでも調べてくれるという、社会部の先輩に頭を下げた。
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