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第三話
「ほい、わかったぞ」小さなビニル袋に入ったものが目の前にたれた。
「なんですか?」
胃薬と睡眠薬だというのだ。
睡眠薬?
「病院で出されてるやつな」
そうすか、ありがとうございました。
「ンで!」といって先輩は空いている椅子をもってきて俺のわきに足を組んで座った。
まだ何も、ただ。
ただ?
これをひろったゴミ箱が気になった。ブルペンから出入りできる場所で、水道を探してその場所に行きついた。
選手の出入りする場所で、俺たち記者が出入りする場所にもゴミ箱があった。それも記者たちの方はある程度ゴミが入っていたが俺の側にはそれだけ、周りを見ると掃除をしている人たちがいたのは確か。
「それで?」
あそこにいたのは、坂崎、コーチや投手陣、でもみんな三十以上は投げ込んでた。でも彼はまるで、投球練習というよりはキャッチボール、それもなんだか記者たちに写真を撮らせて帰っていったような気がしてならなかった。
「ふむ」
「眠くて投球やめたのかな、と俺は単に思ったんだけどさ」何かほっとしている俺がいる。
電話が鳴った、がんちゃんから?
「ほい、何?」
今暇かと聞かれた。
「まあな」
この間の球場に来れるかと聞かれた。
「なんかあったのか?」
来てから言います、これますか?
「編集長、俺でてきてもいいですか?」
「一人か?」
「杉の社員から」
「おう、わかった、携帯忘れるな」
「はーい、イケるぞ」
待ってますと言われた。
先輩は立ち上がる時、両膝をパンと叩いた。
「どっちにしろ今は憶測だ、なにが起きるかわからねえからな、しっかり相棒に取り込んで来い、後は俺達がホロウするさ」
と肩を叩かれた。
すみません、お願いしますと頭を下げた。
相棒の入ったカバンを下げ、俺は部屋を出た。
杉の社員と言っただけで外に出れたということは信頼があるからだよなーと考えながらタクシーを拾った。
今日は、遠征のためホームグラウンドは、整備の係しかいない。
俺は外にいたがんちゃんと、関係者の入り口から入った。
「今日、選手の控室に入ってるんです」
「この間の雨漏りか?」
「はい、それで、今日はシンの奴も一緒にいるんですけど」
ドアを開けると、天井から出る足。
「きたぞ」
「降ろして―」
抱きかかえおろしてやった。手に握っている物。
「何だそれ?」
「ごみみたいに見えるだろ、でもほら」
「何だ?アクセサリー?」
「高いよ?プラチナや金だもん」
「何でそんなぼろきれ」
「汚いけど、ほら、タオル」
この球団の物だ。色あせ、汚れはシミになっている、何年も放置されていたようだ。
「古いな、これで呼んだのか?」
二人は顔を見合わせた。
がんちゃんがロッカーの前に立った。
坂崎のロッカーだという。
「今日は、水漏れの事もあったんで、皆さんにはロッカー開けますって前持って行ってあったんですけど」
「どうかしたのか?」
「これ、見てください」
開けたロッカー。
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