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それを通じて亡くなった人の遺影を、ああやって映像にしてくれて、しかも、タブレットにつながった三百六十度カメラと高性能マイクで、顔とか声から知人だとわかったら微笑んでくれる、というわけです。
名前は「サブスクdeイエイ」。ふざけてるでしょう。
月額4000円と、ちょっとお高めなんですが……。
これが親父の遺志なら、しばらくつきあおうかと、そう考えた次第です。
それだけじゃあありませんよ。
親父が、自分のスマホやらパソコンやらにあるメールのデータとかメッセージアプリのデータも、こっそりと公開していたブログとか動画アプリの映像、それから日記帳から手紙の束まで、全部読み込ませてたらしくて。
ですから、あの遺影は、ご参列の方々と親父との人間関係を、親父が残したすべてのデータから読み取って覚えていて、相手ごとに表情を変えて相対してくれるんですよ。
……ただね。ひとつ、サービス利用にあたってこれだけは注意しろ、っていう説明書きが一枚だけ、箱に入ってました。
ボリュームボタンにだけは、絶対触っちゃいけないって。
一体、どういうことでしょうねえ。
さあ、そんな話をしているうちに、そろそろ始まります。
では、私はちょっとこれで……。住職さまに挨拶をしないといけませんので。
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