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さて、さっき見てもらった短い楽譜ですが、実はもうあの12小節のなかで一般的に「音楽」に必要な物は半分くらい出揃っています。
じゃあ一体、何が音楽を形作っているのか?
ちょっとずつ整理してみようと思います。
●「音」そのものについて
音楽、というからには、何でもいいから「音」をもって来ないといけないですよね。
じゃあ、ためしにさっきのお正月のメロディーを「シンバルだけ」とか「爆発音」とか「ガラスを割る音」だけで演奏したとします。
どうでしょう。僕らはそれを音楽として理解出来ると思いますか?
……断定はしませんけど、多分無理ですよね。(音MADの存在を考えると気軽に断定出来ない)
どうやら音楽をそれっぽくする音には、ある程度制限があるみたいです。ざっくり次のような感じ。
①高い、低いがはっきり分かる音
②大きさのバランスが考えられている音
③他と混ざらない特徴的な音
どうですか?まだイメージがふんわりしすぎてるかもしれないですね。
例えばピアノの音。適当に弾いても、例えば鍵盤の左端で弾いた音と右端で弾いた音は『全然違う高さだ』ってはっきり分かる。しかも耳のいい人だったら、それが一体どの位置の鍵盤か、つまりどれくらいの高さの音だったかを聴き比べながら特定できますよね。
また、例えばピアノを弾いたとき、音量が無限に調整出来るとします。
ジェット機のエンジン並に大きな音で一つ鍵盤を鳴らして、同時に囁くよりも小さくもう一つの鍵盤を鳴らしたら、どうでしょう。或いは交互に、大きい音と小さい音を鳴らしたら。
多分、気持ち悪くて音楽として捉えられない筈。
最後に、ピアノそのものの音。同じ高さ、同じ音量で弾いたとして、それはあなたの歌声と全く同じに聞こえるでしょうか。聴こえないですよね。
音楽だと、この音が持つ三つの性質は、
①音高
②音量(物理的に音圧も仲間)
③音色(ねいろ)
と呼ばれます。これらがある程度コントロールされた音の集まり。それが、音楽です。
●旋律と拍子
さて次に、上で説明した『コントロールされた音』。これを適当なタイミングで鳴らしてみるとどうでしょう。
長く鳴らす、伸ばす音と。短く鳴らす、刻む音。
同じ音を何度も鳴らすこともあれば、階段を一段ずつ昇るように隣の高さの音に移ったり、或いはいきなり遠い高さの音を鳴らすこともあるはず。
こういう、時間の流れの中で適当に区切った『音を鳴らすタイミング』のことを拍子、またはリズムといいます。
そして、このリズムに合わせて色んな高さの音を鳴らした『色んな高さの音の流れ』のことを旋律、またはメロディーといいます。
非常に回りくどく聞こえると思うんですが、要は音楽は『流れ』と『タイミング』に気を遣った『色んな高さの音の集まり』だってことです。
これ以上もこれ以下も無い。たったこれだけ。
ここにあるものが原材料というか食材であり、これ以外の残りは殆どが調味料と調理法、ってことになりますね。
そして僕たちは、無意識のうちにこの食材の食べ方を知っています。言葉という高度な音の組み合わせを駆使する生き物、人間。音楽はそれの延長であり、本当に知らないうちに、「この音の並びは綺麗だな」「歌いやすい音の並びだな」と判断できるし、それを考えることが出来る訳です。
じゃあ、これを調理するとどうなるんでしょうか?次のページで軽く見てみやしょう。
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