一、天籟国にて

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一、天籟国にて

 体の底から、恐ろしい咆哮が込み上げる度、意識とは反して叫びが漏れる。  苦しい、苦しい、苦しい。  暗くて何も見えない。  なのに、体の底から込み上げてくる混沌とした衝動が、体を突き動かす。  皮膚を食い破り、何かが生まれようとする。  この体を脱ぎ捨て、獣にでも成り下がろうというのか。  苦しい、助けて。  もがいてももがいても、人の気配はない。  誰の救いの手も伸びてはこない。  苦しみから逃れようともがくたび、首を繋いだ鎖が耳障りな音を上げる。 (何故、どうして、これが試練か!!)  不意に込み上げた自我がそう叫んだが、口から洩れたのは、獣の唸り声だった……── ****
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