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「そうだなぁ……、結婚前の最後の夢、ってこともあるかもしれねえなぁ」
「おい、お前まで何を言い出すんだ」
「分かんねえだろ? 姫さまだって、恋のひとつやふたつもするだろうよ」
ドリューは振り向きながら、肩を竦める。
「今まで、姫さまに色恋沙汰ってのはねえんだろ?」
「当たり前だ。縁談は今回が初めてだし、祠堂は女官しかいない。女官同士の恋愛もあるにはあるが……王女たちではなく、女官の風習だ」
女官たちも祠堂に入れば出ることは許されない。本来推奨されることはないが、女官同士の中で精神的に愛し合うことはあった。
肉体的に結ばれてしまえば破門されるけれど、恋人になるだけは黙認されていた。
墨も何人かから「友になりたい」と告げられた。
それが、告白だと理解していたから、無論断った。
女官たちとは違う、墨は姫奴だ。恐らく姫奴が『友』を持ったのなら、破門どころの騒ぎでは済まされない。
姫と女官の間に、いままでそういう関係があったのなら……恐らく、墨がその姫の姫奴ならば、その女官を始末する。他の姫奴もそうしただろうと確信がある。
ドリューは腕を組んで、難しそうに眉を寄せた。
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