3月29日 4年目

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 直弥と違い、やってみたい仕事があるのは、逆に尊敬する。  営業とは言え、業務形態はほぼ固定の仕入れ先とのやりとりが主で、売上云々業績を求められないから潰れずやってこられた。  入社時、希望部署になんて書いたのかさえ、覚えていない。    若者一人、性格を生かせてやりがいのある仕事に就く。  急すぎる事の経緯は全く理解できないが、出来事自体は大賛成だ。 「ありがとうございます!!」 「いやいや」 「僕いつか、田辺さんをキャラ化した可愛いノベルティグッズを作って、ご恩返します!!」 「?! い、いや、それは気持ちだけで。本気で遠慮しとくよ」    冗談だろうけれど、後輩の目の輝きに不安を抱き、真面目に強めの釘を刺した。 *  *  * 「――と言う訳で、急に後輩が異動になったんだ」  掻い摘まみまくって、大介に説明した。 「へえ……行きたいぶしょに、後輩行くんだ」 「うん」 「めでたいな!」 「まあ、そうだね。後輩にとって、好きな仕事が出来るからね」 「寿司、頼むか!」 「はあ? なんで寿司? 今、ご飯用意してくれてるじゃないか」 「だって、めでたいし!」  突然突拍子のない事を言われ、驚き見遣ると、直弥理想のニッコニコ笑顔を浮かべている大介が居た。 ―おしまい―
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