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直弥と違い、やってみたい仕事があるのは、逆に尊敬する。
営業とは言え、業務形態はほぼ固定の仕入れ先とのやりとりが主で、売上云々業績を求められないから潰れずやってこられた。
入社時、希望部署になんて書いたのかさえ、覚えていない。
若者一人、性格を生かせてやりがいのある仕事に就く。
急すぎる事の経緯は全く理解できないが、出来事自体は大賛成だ。
「ありがとうございます!!」
「いやいや」
「僕いつか、田辺さんをキャラ化した可愛いノベルティグッズを作って、ご恩返します!!」
「?! い、いや、それは気持ちだけで。本気で遠慮しとくよ」
冗談だろうけれど、後輩の目の輝きに不安を抱き、真面目に強めの釘を刺した。
* * *
「――と言う訳で、急に後輩が異動になったんだ」
掻い摘まみまくって、大介に説明した。
「へえ……行きたいぶしょに、後輩行くんだ」
「うん」
「めでたいな!」
「まあ、そうだね。後輩にとって、好きな仕事が出来るからね」
「寿司、頼むか!」
「はあ? なんで寿司? 今、ご飯用意してくれてるじゃないか」
「だって、めでたいし!」
突然突拍子のない事を言われ、驚き見遣ると、直弥理想のニッコニコ笑顔を浮かべている大介が居た。
―おしまい―
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